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3日目には、コツが分かるようになってきた。
1週間後には、作業にもすっかり慣れた。
そうして、ひかりはすっかり畑仕事の虜になっていった。
一日ごとに、熱が入っていくひかりの様子に、美奈子ちゃんも美奈子ちゃんの家族も驚きをもって、感激してくれた。
「いつもありがとうね。」
美奈子ちゃんのお母さんは、ひかりが帰るときには、たくさんの野菜を持たせてくれた。
「おばさん、こんなに悪いよ。」
ひかりが困惑気味に言うと、おばさんは決まって、こう言った。
「これは、お礼なのよ。何も気にしてないで、持っていてほしいの。いつもありがとう。」
「じゃ、おばさん。遠慮なく貰ってくね。ありがとうございます。」
帰りの自転車のカゴには、いっぱいの野菜が詰め込まれた。
ひかりが、丁寧に頭を下げてお礼を言って帰る。
これが、毎回の光景になっていた。
午前中、美奈子ちゃんの家のお手伝いをして、家に帰ると、母はニコニコしながら、
「お帰りなさい。」
と言ってたくさんの野菜を受け取った。
母は、頂き物の野菜をいかに食べきるか、頭を悩ませている。
まるで、パズルでも解くかのように、楽しそうに頂いた野菜を眺めた。
それから、鼻歌を歌い、流れるように動きながらお昼ご飯の支度を始めた。
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