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長い、長い一本道をただ、ひたすらに進む。
暑い日差しはいつも以上だ。
容赦なく照り付け、ひかりの体力を奪っていく。
もう少し、あと少しで曽木発電所遺構にたどり着く。
そう思った瞬間、体が浮き上がるような感覚に襲われた。
こんな感覚初めてだった。驚いて、自転車の速度を緩めた。
すると、今度は軽い吐き気を感じた。
ひかりは、仕方なく路肩に自転車を止めて立ち止まった。
道路わきの日陰は、風向きのせいだろう。ちっとも風が吹かなかった。
それからすぐに、めまいがした。
ひかりは、立っているのもしんどくなって、その場でうずくまった。
アスファルトから立ち上る熱気が顔に触れる。
もう少しだけ頑張れたら、睦君がいる場所にたどり着けるのに・・
そう出来ない自分がもどかしい・・
全身の毛が逆立ち、幽霊でも忍び寄ってくるようなゾクゾクした冷気が襲ってきた。
次の瞬間、ひかりは意識を失ってしまった。
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