小学5年生 6

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辺りを見渡せる豪華な作りの東屋に、腰かけていた。 8角形の東屋は、メリーゴーランドに形が似ていると、ひかりは思った。 八の字のベンチが向かい合わせに配置され、真ん中には丸い大きなテーブルが設置してある。 真向いには睦君が、いつもの開襟シャツにスリムな黒いスラックス姿で座っている。 ここはひんやりしていて、気持ちがいい。 睦君が踊っていた境内と同じ世界にいるのだと、肌で分かった。 ここも、あの境内と同じ空気が流れている。 辺りは深い霧がかかり、エフェクトのかかった柔らかい光が差している。 ここから少し離れた場所には、切り立った岩肌が微かに見える。 どうやら、ここはどこかの崖の下のようだ。 まるで、掛け軸の中の世界みたいだ。 切り立った岩崖は、何者も寄せ付けない冷たい表情をしているが、それでいてため息が出る程に美しい。 東屋の隣に立つ建物は、からぶき屋根の古民家だ。 ひかりが辺りを見回していると、 「ひかりちゃん、大丈夫かい?」 柔らかい笑顔の睦君が口を開いた。 睦君は、曽木発電所遺構にいる時とは、どこか雰囲気が違う。 そんな気がした。 「睦君が助けてくれたの?」     
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