小学5年生 6

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「僕は、荒田天神社の神使。神使って分かるかな? そうだな、簡単に言うなら神の使いっていうのかな。 僕は元々、“牛”でね。この姿になってから千年は経っている。 僕の仕事は、神にお仕えする事と、神と神社の結びつきを助けて守っていく事なんだ。 最近は、色々あってね、神はお留守にされている。 荒田天神社には、神の御心(みこころ)の結晶が息づいているから、神はお留守でも、この神社は神の御心とつながる事が出来るんだよ。 神のお傍でお仕えする事も出来たんだけど、僕はせっかく宿っている神の御心を放置したままここを離れるのが忍びなくてね。 神の御心をお守りしながら共に、この地を見守っていくと決めたんだ。 それにね、僕の世界はある鏡の中に存在しているんだけど、その鏡が大きな災害の折に、あの発電所の下に入り込んでしまったんだ。 僕は、あの場所を見捨てる事が出来ない。 今は、ひかりちゃんもその中にいるんだよ。案外、いい場所でしょ。 この場所も、この地も気に入っているし、元々離れるつもりはなかったからね。 僕は、満足しているんだよ。 ひかりちゃんにも見えるかい?洞窟みたいな穴が幾つか見えるでしょ。 秘密の抜け穴でね、神の世界に繋がっている穴もあるし、僕がお仕えしている神のお傍に繋がる穴もあるし、別世界に行ける穴もあるんだ。便利でしょ? 僕が長年かけて作った道だよ。」
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