小学5年生 6

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「睦君、ここに来る前、夢で睦君が舞を舞っているのを見たよ。」 「あそこは神の世界。 神の世界には、舞を舞ったり、笛を吹いたりしに、ちょくちょく行っているんだよ。 僕は元々、あっちの生き物だからね。どう?怖くなったかい?」 話しをしている睦君は、怖いほどの威圧感はなくなり、穏やかな声といつもの澄み切った眼差しに戻っていた。 「怖いなんて、微塵も感じないよ。睦君は神様みたいなものでしょう?」 「僕は神じゃない、孤独を持て余す元牛さ。」 「また、会いに来てもいい?また、お話してくれるかな。」 「もちろんだよ。僕はひかりちゃんの話しが好きだからね。 そうだ、ひかりちゃんには、話しておかなければいけないね。 僕がこの空間から出て、ひかりちゃんの世界に行けるのは、鏡が水に浸かっていない間だけなんだ。この間だけ、僕はひかりちゃんと自由に会う事が出来る。 あの穴が外へと通じている道なんだけどね、水に浸かるとあの道は通れなくなってしまうんだ。こればっかりは、僕にもどうにもならなくてね。」 睦君が指を差した先には、割と近くに迫る岩壁に大きな洞穴が見える。 これが、外に通じている道なのだろう。 幾分、霧が薄くなり始め、周りの景色が少しだけ見えてきた。 遠くに見える岩壁にも、睦君が説明する通り、いくつかの洞窟らしきものが幾つか見える。 睦君が説明してくれた、秘密の抜け穴だ。 睦君の話しに、嘘はない。睦君は、本当の事を話してくれた。 きっとそうだ、睦君は、私を大事な友達と思ってくれているんだ。 その事実だけで、ひかりは十分だった。 ひかりは、自分の胸に広がる暖かいものが収まりきれず溢れていくような気がした。
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