小学5年生 6

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ひかりが目を開けると、見ず知らずの天井があった。 「目が覚めたのね。」 母が、安堵の表情でひかりの頬を優しく撫でた。 ひかりはぼんやりしながら、母を見つめて再び天井を見た。 それからゆっくり回りを見回した。 見たこともない白い部屋で点滴をされ、知らないベッドに横たわっていた。 自分が、どこにいて、どんな状態なのか、見当がつかなかった 「ここは病院よ。ひかりは道端で倒れていたって、ここに担ぎ込まれたのよ。 なかなか、目を覚まさないから、心配したんだから。」 「お母さん、心配かけてごめんなさい。」 ひかりの素直な気持ちが言葉になって口から離れた。 母は、普段では決して見る事の出来ない優しい顔をして言った。 「いいのよ、ひかりは無事だったんだから。もう少し寝たら、帰りましょう。いいわね?」 母の深い愛情を感じた。この顔はまるで魔法だ。 嘘みたいに緊張や不安が消えて心がくつろいでいき、やたらと素直になってしまう。 「うん。」 ひかりは、ゆっくり目を閉じた。 睦君の想いも一緒にかみしめていた。 (睦君、ありがとう・・。) ひかりの目から、こらえきれず涙があふれていた。
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