小学5年生 7

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次に頭に浮かぶのは、睦君。 夏が終わってしまえば、睦君には会えなくなる。 曽木発電所遺構は、9月に入ると、水かさが増え始める。 水が増える事で、睦君の世界とこの世界をつなぐ道が閉ざされ、睦君はこちらへ来られなくなってしまう。 その日は、もうすぐそこまで迫っている。夏が終わる日に、会えたらいいな・・そう考えながらランドセルに用意した持ち物を突っ込んだ。 いつもより早めに、この曽木発電所遺構に到着した。 「睦君、いる?」 ひかりが声を出した。 「やぁ、ひかりちゃん。今日は浮かない顔をしているね。」 「夏休みは、今日までだから。」 「僕は、嬉しいよ。ひかりちゃんに会えたからね。」 「私も、嬉しいよ。今日も睦君に会えたから。」 睦君は笑顔でうなずいた。 ひかりは、そんな睦君を見ながら思った。 どんなに寂しくても、暗い顔はしたくない。睦君といる時間を楽しいだけの時間に変えたい。 睦君だって、きっとそう思っている。寂しいより、楽しいの方が断然いいもんね。 ひかりは、笑顔を作って見せながら、睦君に問いかけた。 「今日は、どんな話をしようかな?」 「ひかりちゃんの好きな食べ物の話が聞きたいな。」 「分かった!」 いつもの木陰に腰を下ろして、最後の夏休みをここで過ごした。
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