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季節が廻り、再び太陽が勢力を増す季節がめぐってくる。
木に絡むようにつる性の植物が伸び、背丈の高い草が見る間に成長してくる。
ダムから吹き降りてくる風の中に感じる、微かに混じる青い匂い。
もうすぐ夏がやって来る。睦君に会える季節がやってくるんだ。
ひかりは夏が大好きだ。
曽木発電所遺構の姿があらわになると、睦君は自由に外に出られるようになる。
睦君の夏休み。
そして、この日を待ちわびていたひかりは、睦君に声を掛ける。
「睦君、いる?」
「やぁ、ひかりちゃん。」
夏の間だけの秘密のデートは何年も続いた。
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