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「ひかりちゃんの話、聞かせてくれると嬉しいな。」
穏やかな微笑みを浮かべた美しい睦君と話をするなど、恐れ多いような気がした。
私なんかで大丈夫?
そんな思いがひかりを躊躇させた。
ひかりは本来、恥ずかしがり屋ではない。
だた、曽木小学校に通ってもうすぐ1か月が経つというのに、友達が一人もいない。
未だに学校には馴染めていなかった。
そのせいもあって、すっかり自分に自信を無くしていた。
「つまらないかもしれないし・・。」
ひかりはうつむいた。
「面白いか面白くないかは、問題じゃないよ。聞きたいんだよ、君の話。僕の願いを叶えてほしいな。」
睦君の微笑みは、ひかりに勇気を与える。そんな微笑みだった。
「でも、どんな話をすればいいのかな?」
そう言いながら、再びうつむいてしまった。
気恥ずかしいというか、照れくさいような心持ちだった。
「ここに来た経緯が知りたいな。」
「うん、きちんと話せるか分からないけど、話してみる。」
「ここは暑いから、あの木陰に行こうか。」
「うん。」
ゆっくり木陰まで歩き、腰をおろすと、ひかりは話を始めた。
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