1人が本棚に入れています
本棚に追加
目を覚ますと江戸時代にいた。なぜ江戸時代かとわかったかと言うと、目を覚ます前にタイムスリップをしたから。蕎麦屋でうどんを食べていたら、突然黒い光が輝き、それに包まれ、江戸に。
これまでにも、こんな事があってたまるかよ、という事が連発した人生であったので、江戸にタイムスリップした事くらいどって事なかったかと言うと、さすがにそうはいかなかった。かなり動揺した。だが、人間睡魔には勝てないものらしい。眠すぎて寝た。
夢を見た。江戸の夢を。江戸では、人がえーじゃないかえーじゃないかとか言ってて、何言ってんだろうって感じだった。目を覚ますと江戸時代にいた。
江戸だって。なあおい、江戸だとさ。目を覚ますと江戸とか、さすがに…。
以前、虎に噛まれた事がある。あまりない経験だと思う。おれの私の人生、こんな事があったんだぜ話になると、僕は決まってこの話をした。すごくない? 虎だぜ? 犬や猫じゃないんだぜ、なんつって。
軽く超えた。
すごくない? 江戸だぜ? すごすぎだろ。だけどこんな話も、できるのは現代に戻れてからだろう。そもそもなんで、どうやって江戸に来たのかわからないのだから、どうやって現代に戻るかなんてわかる訳ない。ほんとこれ、どうすんの?
人間とは不思議なものだ。それでも生きていこうとするものなのだから。生きる=お金がいる=仕事しないと。おれ、仕事しないと。
現代の僕がどんな仕事をしていたかと言うと、ゲームセンターです。おれは父から受け継いだ店でゲームセンターをしていました。僕は今までゲームセンターしかやった事がありません。マックでバイト、なんてのもした事がありません。ずーっとゲームセンターをしてきました。ですから、江戸でもゲームセンターをしようと思ったのです。
電力がない。どころか、ゲームがない。ゲームセンターへの道は細く険しいように思われました。
人間、なせばなるようです。働かざる者食うべからず。食えない→死ぬ。ゲームセンターできないと死ぬ。生まれてこの方体験した事がないピンチに直面した僕は、生きるために、江戸で、ゲームセンターする事に成功したのです。
「生きる」という「力」は、「江戸」で「ゲームセンター」する事を可能にしたのです。
昨晩、江戸の街は夏祭りでした。りんご飴をかじりながら僕は、
「生きるってすげえな」
と呟きましたです。
最初のコメントを投稿しよう!