タイムスリップゲームセンター

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目を覚ますと江戸時代にいた。なぜ江戸時代かとわかったかと言うと、目を覚ます前にタイムスリップをしたから。蕎麦屋でうどんを食べていたら、突然黒い光が輝き、それに包まれ、江戸に。 これまでにも、こんな事があってたまるかよ、という事が連発した人生であったので、江戸にタイムスリップした事くらいどって事なかったかと言うと、さすがにそうはいかなかった。かなり動揺した。だが、人間睡魔には勝てないものらしい。眠すぎて寝た。 夢を見た。江戸の夢を。江戸では、人がえーじゃないかえーじゃないかとか言ってて、何言ってんだろうって感じだった。目を覚ますと江戸時代にいた。 江戸だって。なあおい、江戸だとさ。目を覚ますと江戸とか、さすがに…。 以前、虎に噛まれた事がある。あまりない経験だと思う。おれの私の人生、こんな事があったんだぜ話になると、僕は決まってこの話をした。すごくない? 虎だぜ? 犬や猫じゃないんだぜ、なんつって。 軽く超えた。 すごくない? 江戸だぜ? すごすぎだろ。だけどこんな話も、できるのは現代に戻れてからだろう。そもそもなんで、どうやって江戸に来たのかわからないのだから、どうやって現代に戻るかなんてわかる訳ない。ほんとこれ、どうすんの? 人間とは不思議なものだ。それでも生きていこうとするものなのだから。生きる=お金がいる=仕事しないと。おれ、仕事しないと。 現代の僕がどんな仕事をしていたかと言うと、ゲームセンターです。おれは父から受け継いだ店でゲームセンターをしていました。僕は今までゲームセンターしかやった事がありません。マックでバイト、なんてのもした事がありません。ずーっとゲームセンターをしてきました。ですから、江戸でもゲームセンターをしようと思ったのです。 電力がない。どころか、ゲームがない。ゲームセンターへの道は細く険しいように思われました。 人間、なせばなるようです。働かざる者食うべからず。食えない→死ぬ。ゲームセンターできないと死ぬ。生まれてこの方体験した事がないピンチに直面した僕は、生きるために、江戸で、ゲームセンターする事に成功したのです。 「生きる」という「力」は、「江戸」で「ゲームセンター」する事を可能にしたのです。 昨晩、江戸の街は夏祭りでした。りんご飴をかじりながら僕は、 「生きるってすげえな」 と呟きましたです。
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