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チクワ君は転校一日目にしてたくさんの男女友達ができていた。
どうやら話しやすく、明るい奴だ。と人気があるらしい。
私は胸のドキドキを抑えられず、話しかけることができなかった。
その日は勇気を出せなかった自分を必死に責めた。
昨日のことだ。チクワ君が学校に転校して二日目のこと。
勇気を出し、チクワ君に話しかけてみた。
「初めまして、チクワ君」
「あぁ、斎藤さん」
名前(苗字)を呼ばれてしまった。凄すぎる。
一日でクラス全員の名前を覚えたとでもいうのか?
驚愕しながらも詳しく訊ねる。
「クラス全員の名前を覚えたの?」
「うん、記憶力には自信があるし、これから生活する仲間だろ?」
私も転校の経験はあるが、一日でクラス全員の名前を覚えようとはしたことがなかった。
「もうすぐ、授業が始まるよ。」
「あ、うん。そうだね。」
今日はこれくらいの会話しかできなかった。確かに彼はとても明るく、話しやすい。
ずっと緊張は解けないままだった。手汗が止まらない。
三日目。現在に至る。いつのまにか授業は終わってしまったらしい。
チクワ君の周りに人だかりが出来ている。
半分男子、半分女子だ。
私も女子の集団に紛れる。
「チクワってさ、好きな食べ物何?」
「うーん…枝豆かな。」
男子が次々と質問をしていた。
「お前って部活何部入ってたの?」
「サッカー部だよ。」
自己紹介で言っていたはずなのに何度も質問している。
下らないと思い、自分の席に戻ろうとした時だった。
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