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「な、ななななんで、おまえ……此処にっ」
「……」
「ねぇ、だぁれ? このダッサい女」
「……」
「し、知らねぇよ! どっか部屋、間違えてんじゃねーの!」
そう吐き捨てられて無情にも目の前でドアは閉められてしまった。
(……なんで)
しばらく茫然とその場に佇んでいたけれど徐々に頭の中が冴えて来て、何となく状況を把握して来た。
(……とりあえず時間、潰してこよう)
未だに残る衝撃を振り払うように当て所ないまま歩き出した。
『真優、オレと同じ大学受けろよ』
『え』
『そんで一緒に住もうぜ』
『それって……』
『待ってるからさ、オレ。真優が来るの』
『……はい、分かりました。私、頑張ります!』
高2の時、ひとつ歳上の先輩と付き合い始めた。私にとって初めて告白されて付き合った初めての彼氏だった。
だけど先輩が地元の大学ではなく遠い街の大学に進学すると訊いて寂しかった。
付き合い始めてから半年。遠距離恋愛になることの不安もあった。
だけど先輩は待っていると言ってくれた。一緒の大学に通って一緒に住もうと。
その言葉があったから私は一年間頑張って来た。
──なのに……
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