第一章 家なき娘

3/14
305人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
(まさかこんなことになるとは……) はぁと大きくため息をつきながらトボトボと歩いていると少しだけ開けた場所に鳥居が見えた。 「……神社?」 田舎の実家近くにも神社があった。小さい時から其処で遊んだりお参りしたりして私にとって神社は私に身近にある馴染み深い場所だった。 (丁度いいや、此処で休憩しよう) そう思い一礼して鳥居をくぐった。 「此処、お稲荷さんが祀られているんだ」 石敷きの道を少し歩くと両端に小さな白い狐の石像が置かれていた。 簡素な祠を護る様に佇むその姿になんだか心が洗われるような気がして手を合わせてお参りした。 すると鞄の中の携帯からメールを受信した音が聞こえた。慌てて携帯を取り出し確認する。するとそこには先輩からのメールが届いていた。 【おまえ、大学落ちたって言っていただろう?! なんで突然来るんだよ! オレは嘘つき女とは付き合っていられないからな!】 「……」 その文面から先輩が怒っている様子が容易に想像出来た。どうやら先輩ときちんと話をする間もなくフラれてしまったようだ。 (これって……自業自得ってやつかな) そう自覚した途端、目頭がカァと熱くなった。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!