0人が本棚に入れています
本棚に追加
青いオーラ
夕暮れ色に染まった校舎の一室。
私が美術部員として一人静かに絵を描いていると、背後から声をかけられた。
「それって僕の絵?」
誰もいないものと思っていたものだから、小さな悲鳴が私の口から洩れ、背筋がピンと張った。
「はぁ・・・。勝手に人の絵を覗き込むなんてどうかと思うけど」
私が振り返った先には同じクラスの男子生徒。
彼もこの美術部の一員だった。
「それを言うなら勝手に人を被写体にする方がどうかと思うよ?まぁ、そんなことより、その薄汚い黄色は何?」
絵に映る男子生徒の周りには彼を取り囲むようにして、くすんだ黄色地の背景がある。
「これは・・・。オーラよ」
「・・・オーラ?」
「そう。テレビとかで聞いたことぐらいあるでしょう?人の周りには微弱なエネルギーのようなものが存在するの。信じないでしょうけど、私は人のオーラが見えるの」
「オーラが?ふーん。それで、なんで僕のオーラだけそんなに汚い色してるわけ?」
信じたわけではなさそうだが、男子生徒はことさら自分のオーラの色に納得いかないようだった。
「別にあなただけではないわ」
私はスケッチブックをめくり、他の生徒が書かれた絵をいくつか見せる。
最初のコメントを投稿しよう!