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《Side:砂斗》
最終下校の見回りを終え、今日も部屋で一息つく。
鬼の風紀相手に校則違反をする輩などいるわけもなく、最終下校時刻にはどの部も活動をやめ帰路についた。
「おや?」
部屋の奥で書類に目を通しているのはこの部屋の長。
まるで鬼には見えないその容姿は、どちらかというと王子様。
学園の誰もがその就任に驚いた。
彼は生徒会の方に召集されると、皆が一様にそう思っていたはずだ。
だが、彼はこうして風紀のトップに座っている。
何も彼が自らこの座に座りたくて生徒会の話を蹴ったわけではなく、風紀の役選出には理事長が絡んでくる。
理事長に選出された風紀役員は決定事項となり強制的にその職に就かなければならない。
そして、委員長に選ばれたのが彼、鷲宮芹。
副委員長に選ばれたのが俺、龍泉砂斗なわけである。
鬼には見えない芹に代わって俺がその役割をしているのは言わずもがな。
風紀に鬼の存在は絶対なのだ。
芹の言葉に視線をドアにやれば、ドアの外からは足音が。
一般の風紀委員はすでに帰宅させてあるため、校内には誰一人残っていないはずだ。
~♪~♪~
「お客さんのようだね」
ドアの向こうから聞こえる鈴の音に、読んでいた書類と共に掛けていた眼鏡を机へと置いた。
「ようこそ、万事屋風紀へ」
ゆっくりとしたノックが3回された後、俺はドアノブをゆっくりと回し引いた。
今日の客を招き入れるために。
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