第1話 探し物

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彼女の名は須和田有紗。 俺らと同じ高校2年生である。 彼女の依頼内容は、失くし物を探して欲しいというものだった。 スマホで写真を見せてもらう。 だいぶ大事にしていた節があるな。 「母の形見なんです」 ペンケースについていたキーホルダーを眺めながら彼女がいう。 どうやらペンケースごと失くしたのだという。 「そんな大切な物を軽率に失くすだなんてこと、ありえねぇだろ」 隣で砂斗が告げる。 ま、そうだわな。 「失くし物くらい自分で探すのが普通なんじゃねぇの」 彼の言うことは最もだ。 最もなのだが…… 言葉の本当の意図は彼女にきちんと伝わっているだろうか。 いかんせん口下手というか、不器用というか。 要は、彼女のことを考えてこんなことを言ったわけだが。 「……」 すっかり言葉を止めてしまった彼女。 ほら、伝わってない。 「自分で探したけど見つけられないから頼んでるのか、ハタから自分で探す気はないのか。どっち」 おい。 追い討ちをかけるな。 でも、良い誘導ではある。 彼女のキャッと結んだ口が息を吸い込むために開かれる。 「私……に、は、どうすることも……」 目には涙が浮かんでいた。 さぁ、真実を話して。 でないと、俺らは動かないよ。
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