心臓に杭を打つ

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 校舎横の射撃場内の見慣れない設備の中、新入生達は興奮気味に銃を握る。  先輩達の指示に従い赤星も銃を構え引き金に指をかけたが、二十メートル先にある人型の的に先程の映像内の吸血鬼の姿が重なる。ざわざわと広がる胸騒ぎを打ち消すように赤星が右手人差し指に力を込めると、想像以上の衝撃を伴って弾丸が発射された。弾道は大きく逸れ的の右下端に風穴を作った。 「あ、あなた、赤星くんだったかしら。ちょっといい?」  おずおずと声をかけてきたのは加賀美だった。 「は、初めてにしては上出来だけど、少し力みすぎかもしれないわ。り、両肘、両膝は伸ばしきらずに、足はもう少し開いてみて」  吃音を繰り返しながらも指導する加賀美に先程のような異質な雰囲気はない。その変化に赤星は思わず口を開いた。 「加賀美先輩は対吸血鬼用の銃の訓練と言うと嫌じゃないんですか?」  教室での彼女の発言を思い出し赤星が聞くと、加賀美はゆっくりと顔を上げ視線を合わせた。 「えぇそうね、とっても悲しいわ。……だ、だけどこういった訓練は、吸血鬼を愛する私にとっても必要なことなの」  加賀美は赤星に手本を見せるため、的に向かって銃を構える。真っ直ぐと前を見据える姿は凛としていた。 「世の中には色んな人間がいる。善人も悪人も……それは人間に限ったことじゃないと思うの」  加賀美が引き金を引くと銃弾は的の中心を撃ち抜いた。彼女は赤星を見やると穏やかな表情を見せる。
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