いざ警察科へ

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「今この国で起きている猟奇的な殺人事件の内約九割は、この『吸血鬼』と呼ばれる連中によるものだ! やつらの正体は未だ不明、薬物による変貌か、遺伝子操作の産物か――様々な憶測は上がっているものの結論には至っていない」  意味を上手く捉えられないまま、赤星の耳の奥で高津の言葉が反響していく。 「『吸血鬼』は新種の生き物だと言っても過言ではない。映像の通り非常に身体能力が高く凶暴な性格をしており、やつらへの対応は年々厳しくなる一方だ。そこで作られたのがこの白銀警察学園警察科!」  高津は一度言葉を区切ると、鋭い目つきで新入生達を見渡す。 「そして! 警察科の中でも特別優秀な人間だけを集めた銀零部隊! この組織の育成こそが白銀学園の存在意義なのだ!」  高津の合図で銀零部隊の先輩達から配布されたのは拳銃だった。 「これは普通の拳銃ではない。この銃に装填できるのは対吸血鬼用の弾丸のみ! 人間相手ならよっぽど当たり所が悪くない限り致命傷にはならないが、吸血鬼たちにはよーく利く」  赤星は先程の映像内で撃たれ動かなくなった『吸血鬼』の様子を思い出し顔を顰めた。  今度は高津に代わって三年生と思われる生徒が更に吸血鬼について詳しく説明を始めた。 「吸血鬼は無差別に人間を襲って血を吸い、殺す。一分の隙も見せてはなりません。対吸血鬼用の武器はショルダーホルスターで在学中常に身に着けるように。また吸血鬼については他言無用、関係者以外に話せば罪に問われます。いいですね」
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