心臓に杭を打つ

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「加賀美ちゃんね! この恩は絶対返すからね!」  牡丹は両手でガッツポーズを作って意気込む。 「困った時はお互い様だから……。そ、それより私、自分以外の子のお部屋に来るのって初めて」  加賀美は小さく引き笑いをしながら室内を見渡す。 「あ、いつの間にかごちゃごちゃに……。ごめんね、物が多くて私」  牡丹は先程散乱させた私物を慌てて一か所に寄せる。漫画や化粧品、衣服などが雑多にある中、かなりの割合を占めているのはゲーム類だった。数あるゲームソフトの内の一つを加賀美が徐に手にする。 「ド、ドラキュラのゲーム? 吸血鬼って素敵よね」  おどろおどろしいパッケージに目を落としながら声を弾ませて微笑む加賀美の様子に牡丹は目を輝かせる。 「加賀美ちゃんもドラキュラ好き? 私もダークファンタジー大好きで……!」  嬉々として話す牡丹に加賀美も続く。 「吸血鬼は素晴らしいわ。い、一度会うともう虜になってしまうわよね……!」 「そうそう! 一度やり始めるとやめられないんだよね、このゲーム!」  認識の差異にも気付かず二人は熱っぽく語る。 「ねえねえ、このゲームのここの面でね――」
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