心臓に杭を打つ

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 牡丹は興奮したようにゲームの電源を入れるとドラキュラが主人公のそのゲームの解説を始める。楽し気に顔を綻ばせる牡丹の話に加賀美は聞き入った。 「――なの! ね、加賀美ちゃんも一緒にやろ!」  牡丹が満面の笑みを向けると加賀美は薄っすらと頬を染め大きく頷いた。  二時間後、ようやく満足したらしい牡丹は時計を確認して驚いた声を上げた。 「あー楽しかった! て、いつの間にかこんな時間に!」  夕食時に差し掛かっていることに気付いた二人はゲームを切り上げ解散することとなった。牡丹の自室を後にする加賀美はおずおずと口を開く。 「わ、私ゲームって初めてやったけどとっても楽しかったわ」 「あれ!? そうなの? えへへ、ごめんね、付き合わせちゃって……」  首を横に振る加賀美に、牡丹は頭を掻いて笑った。 「それに中庭での事も、今日は本当にありがとう。また遊ぼうね!」  何でもなく放たれた牡丹の言葉に加賀美はあからさまにたじろいだ様子を見せる。 「あ、あ、うん……ゲーム、もっと勉強しとくね!」
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