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警察官を志す者が激減したため基準緩和が繰り返されるも一向に改善しない状況に対策が取られた。
塔京都立白銀警察学園警察科。
数年前に設立されたその学園の警察科では、警察官になるために必要な知識、技術などを高校生の内から学べ、実際に事故や事件の現場に赴くことさえある。
桜の舞う四月某日、入学基準の厳しい白銀学園の狭き門をくぐった生徒達の門出の日。
意気揚々と登校してくる新入生の波の中、学園へと続く坂道を上る彼、赤星雅巳もまた例外ではなく強い足取りで歩を進めていた。
地元を離れ白銀学園に進むことを両親には散々反対されたが、それを押し切ってでも入学したい理由が赤星にはあった。
「必ず……必ずあの事件の犯人をこの手で捕まえてみせる」
これまでにも何度となく自身に言い聞かせてきた言葉を呟く彼の横から呆れた声が上がった。
「まーたそんなこと言ってる」
赤星とは対照的な明るく間延びした声の主、小山内牡丹は目の前のディスプレイから目を離さない。
「牡丹、歩きながらゲームするなっていつも言ってるだろ」
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