いざ警察科へ

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 赤星は、器用にボタンを操る手から携帯ゲーム機を取り上げる。 「あーー! いいとこだったのに!」  牡丹の叫びに呼応するようにゲーム機からはゲームオーバーの軽快な効果音が流れた。赤星は電源を切り、頬を膨らます牡丹にゲーム機を返す。 「雅巳、意気込むのはいいけどあんまり突っ走らないように。事件事件言ってると友達出来ないぞ」  ゲーム機を鞄に仕舞いながら作ったような口調で言う牡丹に、赤星はきっぱりと返す。 「余計なお世話」 「もう、せっかくの高校生活なのにさ。警察科なんかに入っちゃって、雅巳が青春を謳歌できないんじゃないかって私心配」  牡丹はわざとらしくため息をつき赤星の肩を軽く叩いた。 「そんなもの興味ない。俺の目標は銀零(ぎんれい)部隊に入ること、それだけだ」  白銀学園には銀零部隊という組織がある。学力、身体能力、人格、あらゆる面を考慮してごく数名だけが選ばれるその部隊は警察科皆の憧れで、所属すると在学中から事件の捜査の協力なども行える。 「まあ、白銀学園の普通科に入学する私にはわからないことだけど……それでも心配。あと忙しくなって私とゲームする時間がなくなりそうで心配!」  短い金髪を揺らしながら、びし、とこちらを指差す牡丹に、赤星はため息をついた。 「絶対そっちが本音だろ……」
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