夏の日の悔恨

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夏の日の悔恨

子供と呼ばれていた時代に、一つとして罪を犯したことがないという者はいないだろう。過小な自制心と過大な好奇心が小さな罪を呼ぶことは避けがたく、それに対する厳しい叱責と強い後悔が大切ななにかを教えてくれたはずだ。そうやって、重要な教訓を学んできた者が多いに違いない。 しかし、この事件はわたしにとって最初の罪であると同時に、全く取り返しのつかない罪になってしまった。なぜこんなことをしてしまったのか。いまのわたしには理解しがたい。 いまでも時々、わたしはこの事件のことを思い出す。それは、ふとした瞬間に頭をよぎることもあれば、夢に見ることもある。わたしはせめて、誠実な勇気をもってこの事件を告白しようと思う。もちろん、誠実な勇気も過去を取り返すことはできない。それは、わたし自身が一番よく知っているつもりだ。 わたしはそのとき十二歳で、小学六年生だった。毎日学校に行き、放課後はテニススクールに行くか、塾に行くか、あるいはその両方をこなしていた。     
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