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大丈夫ですとかよりも先にそんな言葉が口から出てしまった。その言葉を聞いた女性はクスクスと笑いながらも
「あいにく様で、私も残ってるんですよね」
そう零した。そうして女性は僕に缶コーヒーを差し出した。
「飲みます?」
「ではありがたく頂きますね」
僕は貰った缶コーヒーのプルタブを開けて渇ききった喉にコーヒーを流し込んだ。暖かいコーヒーが冷たくなった僕の体に熱を戻してくれる。
「そう言えば、こうやって話すのは初めてですよね」
「そうですね」
コーヒーのせいか僕はまどろんでいて、少しウトウトしてしまっていた。
そんな僕を見て女性はあるお願いをしてきた。
「あなたのお話を聞かせてくださいよ」
正直僕の話は全く面白味はないですよと、忠告はしたのだが、それでもいいのでと言われたので僕は自分の話をし始めた。
何の変哲も面白味も無い僕の話を女性はすごく楽しそうに聴いてくれた。
僕が学生時代に他の人の宿題をやらされたと言う話を聞いて「あ~私がいたらそんなこと言う人たちをぶん殴ったのに」なんて他の人の事なのに真剣に怒ってくれた。それが僕には何よりも嬉しかった。
それからさらに僕は話を続けた。僕が受けた理不尽な話には女性は何も思えない僕の代わりに怒ってくれた。
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