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「笑う事はないんじゃないかな」
僕は少し照れながらもそう言った。
「なんか勇気出ました。そうですね。私頑張ってみます。それで自分の本当にしたい事を探します」
女性の表情が明るく戻った。
「そうそうその意気だよ。頑張ってね」
僕と女性はさらに話をし続けた。
「今日はありがとうございました!……あっ!でも、仕事の邪魔しちゃいましたね。すいません」
頭を下げる女性に僕は頭を上げるように言い
「僕の方こそありがとうね。こんなおじさんのつまらない話を聞いてくれて。なんか心がスッキリしたような気がしたよ」
「私はあなたの事を尊敬していますよ。周りの人に真面目だからと言うだけの理由で押し付けられても、嫌な顔せず引き受けるそんな姿勢を。でも、私はそんなあなたが嫌いでした。さっき尊敬してるって言ったばかりで変ですけど。あなたはいつも自分を押し殺して、誰かの為に『真面目』と言う仮面をつけていた。それを良いように利用されていると知っていても。それはとても危ない事なんですよ。でもあなたは気付かないふりをしていた。自分はそういう役回りだと言い聞かせて」
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