正義の味方は此処にはいない。

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 ***  まるで、B級映画のような、出来の悪い冗談のような話なのだが。  ある日、僕のいた世界は、異世界から来た住人たちに侵略を受けた。何でも、僕たちが知らないだけで――世界という奴はたくさんあって、それらは次元の狭間に欠片のように大量に浮かんでいるものらしいのである。  普通の人間は、異世界なんて存在は認識できないという。そして、本来それぞれの世界は不干渉が基本であるようだ。当然と言えば当然。異世界の存在など知らない住人たちが大多数。世界は、あくまでその“世界”の住人たちのモノなのである。時々他の世界から来た旅人が訪れることはあれ――そういった存在を、魔女や魔術師と言ったりするようだが――彼らの大多数は、不干渉のルールを頑なに守るのだそうだ。そうしなければ、その世界の因果律が壊れ、世界の崩壊を招いてしまうからだとか、なんとか。  正直、まだ高校生のガキだった僕に、そういった難しいことは全然わからなかった。確かなのは、ひとつ。僕たちの日本が、地球が、世界が。身勝手な異世界のせいで、大きな危機に陥った、ということだけなのだ。  ある時僕達の前に現れた碧い長い髪の少女は。自らを、異世界からの使者、ベティと名乗った。
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