2.

2/35
435人が本棚に入れています
本棚に追加
/121ページ
ドアのチャイムが鳴って、キッチンにいた結依は手を拭きながらそのモニタを見る。 見覚えのある顔に溜息が出た。 佑葵(ゆうき)桃李(とうり)が以前通っていたサッカースクールのコーチの八代である。二人とも小学生まで教わり、その後は部活との両立のため、別のスクールに変えた。 スクール自体はその男の所為で辞めたと言うわけではない。サッカースクールも個性があり、そのスクールだけでがっちり教え込む所もあれば、ほかのスクールの補助的な練習をしてくれる所もある。子供たちも学校の部活を主にしたいと言うので、中学に上がると後者のスクールに移ってしまったのだ。個々のレベルに合わせた練習をしてくれるし、交流試合もないのが有り難いスクールだ。 八代の元を辞めてくれて、ホッとしたのは結依だ。 良い人なのだが。 どうも結依に特別な感情があるようだ。     
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!