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高橋君、だなんて他人行儀に呼んでいるが、彼は幼馴染だ。昔はこーちゃんと呼んでいたが、中学校に入った頃から周囲の視線を気にして呼び方を変えた。 呼び方を急に変えた私に、最初は彼も不思議そうにしていたが、このころから女子のアピールは激しくなってきていたので、察したのだろう。彼は、申し訳なさそうにしながら、学校では必要以上に私と話さないように気をつけるようになった。 たしかに性格も顔も良いけれど、あまりに幼い頃から一緒にいたから、男として意識したことはなかった。彼の方が誕生日が早いこともあって、お兄ちゃんという感じである。早く彼女でも作って落ち着いてくれれば、私のこの心労も和らぐのだが、不思議とあんなにモテるのに浮いた話は全く聞かない。 まさか、よくある幼馴染モノの漫画のように、私のことが好きだったりして… 「坂下さん、ちょっとこっち手伝って!」 「ひぇ?あ、はーい!」 おっと、つい考え込んでしまった。 私の間抜けな返事がツボに入ったのか、視界の端で、高橋君がこちらを見て笑いながら肩を震わせているのが見える。 ないな。うん、私達の間には、恋愛なんて甘酸っぱいような、くすぐったいような関係は似合わない。 私はまた、ハリボテの甲冑作りに精を出すことにした。
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