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話しているうちに、緊張感も解れ、楽しくなってきた。お互い疎遠になったが、嫌いになったわけではないのだから、久しぶりにこうして話しているとやっぱり心が落ち着くのだ。幼馴染って偉大だな~と思いながら、ふと、先日考えた、高橋君の想い他人について聞いてみたくなった。
「ねえ、高橋君は好きな人とかいないの?文化祭、多分告白されるんじゃない?」
「いや、今のところサッカーしてるのがいちばんだから特にいねえな。告白か~、俺を好きって言ってくれるのは嬉しいけど、傷つけずに振るのも気を使うから控えてほしいんだよな…」
と困り顔。イケメンめ…!とイラッとしたが、本当に困ったような顔をするものだから、何もいえない。この顔か。この顔にやられるのか、女子は。と、なんだかこの男が人気な理由がわかった気がした。
「そっかー、いないのかー。あまりに告白を断るから、誰かいるのかと思ってた。ありがちなところで、私とか?」
笑いながら問いかけると、彼は一瞬動きを止めて…
と、なるのが漫画だが、残念ながら現実はそんなに面白いものではない。は?と、本気で意味がわからないような、気の毒そうな声を発してこちらを見るものだから、ごめんなさい、とすぐに謝った。
「坂下は、妹みたいなもんだからなあ…」
「うんうん、わかる。私も高橋君はお兄ちゃんって感じだなあ。」
男子高校生なんていちばん異性に興味がある頃だろうに、誰も好きな子がいないなんて、奇特な奴だと思いながら彼の顔を見遣る。
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