意地悪なアイツ

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意地悪なアイツ

初めての出会いは 幼稚園年中、ゆり組さん。 「今日から新しいお友達のマサノリくんです。 皆仲良くよろしくね!」 ユリコ先生の横に立つ男の子。 怒ってるのかな…。 ニコリともせず無表情。 朝の挨拶が終わり、皆で園庭に駆け出す。 大好きなブランコに並び順番を待っていると いきなり目の前に割り込まれた。 「あっ…」 並んでたんだけどな。 「何?」 「なんでもない…」 何か恐い。 体が大きいとかそんなんじゃなく むしろ背なんかアタシより小さいのに 有無を言わせない感じが恐かった。 結局ブランコはマサノリくんに取られ しかもなかなか代わってくれず 教室に戻る時間になってしまった。 マサノリくんって意地悪なのかな。 順番に並ぶの知らないのかな。 お友達とは仲良くねって知らないのかな。 ただ漠然とそんな風に思っていた。 お迎えの時間が来てママと家に帰ると 「今日新しいお友達来たんでしょー?」 ママが早速聞いてきた。 「うん。何か意地悪な子」 「何か意地悪されたの?」 「ブランコ…。 並んでたのに順番守ってくれなかった」 「そっか。並ぶの知らなかったのかなぁ。 リノが教えてあげれば良かったじゃん」 だって恐かったんだもん。 怒ってるみたいで。 幼稚園の他の男の子でそんな子は居ない。 皆ちゃんと順番守るよ? 初めての出会い…。 第一印象は最悪だった。 今でも忘れられない幼心。
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