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プロローグ☆
ボクは旅に出た。
炎を見つめている。
揺らぐオレンジ色。
焚き火はいい。
いまは焚き火をするような季節ではないけど体の奥のほうにまで暖かみが伝わってくる。揺れる火炎を見つめる目からだろうか。それとも暖かみを直接受けている皮膚からだろうか。脳になにかが伝達されている感じがする。
落ち着くように。そして落ち着いて考えることができるように。
…………。
そう、落ち着いている。それは実感できる。だけど……。そうなんだけども。
不安だった。不安でいっぱいだ。落ちついたから余計に、そうなのかもしれないけど。
これが本当にあの旅なのだろうか。
旅であるのだろうか……。
確かに目の前には旅そのものがあるように見える。バイクがある。テントがある。キャンプ道具がある。目の前には小さい焚き火台を設置していて火が熾されている。手にはシエラカップ持っていて中にはインスタントだけどミルクコーヒーが入っている。このキャンプ場は直火が禁止だからちゃんと守っている。バイクはテントの前に置いてもいい規則だったから、タープを張ったその下に置いている。小さく折り畳めるテーブルがあって、吊り下げ式の椅子に座っている。
旅を現実化している。と思う。実感だってありありとある。
でも……、でもなんだ。そういったもろもろのことを感じれば感じるほど、その現実が広がれば広がるほど、
不安になってしまう。ひしひしと感覚の裏側でそれを感じてしまう。
これは本当に旅なのか。旅に出たということなのか。これがあの旅なのか。
身じろぎをしたせいで椅子の下でジャリと音がする。静かな夜に割とそれが響く。
これが……、こんなものがあの旅であるのか……。もう一度、改めて問いたださないといけないような気がする。
ボクにとって、旅とは……。
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