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ボクは大きなため息をついた。それはフィクションのユキちゃんをリアルに感じるおバカなボクに対してだけじゃなかった……。
そう、やっぱり二度目なんかなかった。
ボクはさっきここでキセキを体験した。今まで出会ったことのないすごい体験だった。
ここで初めて目を瞑ってみた。静かにしていた。しばらくそうしていた。なんの前触れもなかったと思う。ただ風がそよそよとボクの体を撫でるだけだった。
それは突然だった。突然だ!
頭の中でバチンと風船の割れる感覚がした。自分というものすべてが弾け飛んでしまうような衝撃を受けた。
頭の中がぐらぐらゆらゆら揺れて止まらなかった。止まらない。ぐらんぐらんゆらんゆらん。ボクというものがなくなってしまうかと思った。モヤモヤぶくぶく膨らんだものの中に囚われていたボクが爆発して残骸さえも残らない、そう思えるほどだった。
はあはあと大きな息が頭の中でしていた。
しばらく何も考えられなかった。いや感じることができなかった。ボクというものがなかった……、そう思える時がしばらく続いた。
気付いたら……、目を瞑っているボクが独り立っているだけだった。
そして急に頭の中で何かを悟った。
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