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あとがきに代えて
作者は大変恐縮ながら鹿児島県伊佐市のことを全くもって存じ上げていなかった。
ならば有効となる手段は1つ。
「伊佐市のことを全く知らない」ということを作中において武器にすることだ。
そうして生まれたのが、夜の伊佐を「異世界のイサ」と思い込む蒼太というキャラクターだった。
そして少なからず伊佐市のことを知った今、もう二度とこのような物語を書くことは出来ない。
何かを「知らない」という状態はきわめて純粋で貴重な状態だ。何故ならいったんその何かを知ってしまうと、知らなかった頃の状態に戻ることはもうできないからだ。
既知を駆使して未知を貪る。そして既知の中に未知を見い出し、未知はやがて既知となる。
小説を書くことも、生きるということも、そうした作業の繰り返しだ。
2018.8.31
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