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「やっぱり冬に海ってねぇ」
少し前を歩く ダッフルコートのミヤ
学生みたいで 可愛い
後ろのフードも 長過ぎるマフラーに埋もれるミヤも 砂に負けじとヒョコヒョコ歩く ミヤも
もう 何でも 可愛い
俺の長い人生をかけて これから
ミヤの行きたい所へ 全部連れてく予定
長期計画
「ずっと見てられるんだろ?」
前に言ってた
「寒いのはやだ」
第一弾で 早くも季節を失敗
取り繕うように
追いついて 手を繋ぐ
「あ、待って」
ミヤが片方 手袋を外す
「寒いのやなんだろ?」
「ヒロがあったかいからいいの」
「俺今冷たいよ、手袋してないから」
「じゃあっためてあげる」
「寒いのやなんだろ?」
「気持ちの問題」
「…変なの」
いつのまにか ミヤの口ぐせがうつる
そのくらい ずっと そばにいる
手を繋ぐ
「人いなくてよかったね」
「いてもまぁ…別に」
「気にならない?」
「…気にしない」
今なら近所でだって できるかも
噂が立っても 構わない
「こういうの見たら腐女子が喜ぶんだよ」
「…何だそれ」
「ううん、何でもない」
これは 気になるが
気になると言えば
「いつまで歩くの?」
「んー、せっかく手ー繋いだんだから…もちょっと、このまま」
「どこまで?」
「…どこまでも」
「ずっと?」
「……ずぅーっと」
「…いいよ…」
永遠に このまま 消えないで
二人
手を繋いで 歩いてく
二人
ずっと 一緒にいる
ずっと 幸せな
そういう お伽話
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