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暫くドアの前で押し問答していると、隣の部屋のドアが開いて、太った女性が顔を出した。
「何かありましたか?」
「いえ、大丈夫です。お騒がせしてすいません」
大輔はそう言うと、渋々ドアを開けて亜希子を中に入れた。
何ヶ月か経ったある日、二人はやって来た。何回も飛行機を乗り継いで。
空港に降り立つと彼女は叫んだ。
「ついに来たよ」
彼は少し疲れた様子で、彼女より年を取ってるかのように見える。事前に薬を服用し、順応に一日掛けたとはいえ、少し高山病の症状が出ているのかもしれない。
二人は荷物を受け取るとタクシーで町に向った。空港の周りは何もない荒野で、真っ青な空に輝く太陽の日差しの反射は強い。町に入って少しして駅前にあるホテルに到着した。
チェックインして部屋に荷物を置くと、直ぐにホテルのそばにある旅行会社に向った。まだ午前10時だったのでワンデーツアーにも間に合ったが、お目当ては夕方から出発するサンセットツアーだ。
英語でツアーの説明を聞くのもそこそこに、料金を払って予約をする。
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