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B5サイズのピンクの表紙のキャンパスノートだ。大学に入ってからずっとA4サイズのものを使っていた大輔には、ちょっとミニチュアっぽく感じられた。
前の住人の単なる置忘れではなく、明らかにここで生活していた時から隠していたものだ。多分日記の類だろう。表紙には何も書かれていない。
大輔はノートをとりあえず窓際に置かれたデスクの上において、布団を押入れにしまった。
コンビ二弁当で昼食を取り、少し休憩してからダンボールの開封作業を続ける。食器、衣類など直ぐ使うものの入ったダンボール箱を開封していく。午後3時には一応最低限生活出来るようになった。
一段落ついて椅子に座ると、デスクの上のノートが目に入った。
「これ、どうしようか」
大輔は独り言を言った。大学に入って以来ずっと1人暮らしをしていた大輔は独り言が癖になっている。
「中身見ないとどうしようもないよな」
大輔はそう言いながらノートのページをめくった。読んでみるとやはり日記のようだった。
かわいらしい文字が並んでいる。内容から見てどうも女子高生の日記のようだ。
立ったままペラペラとノートを捲ると空白のページが現れた。
「最後の日付は10年前か。」
最後の記載を見ていると、その後に黒い字が現れ始めた。
『私の日記を読まないでよ』と書かれている。
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