星降る夜

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 出発時刻まで町を見て回ったり、昼食したり、日焼け止めなどの準備をしたりして時間を潰す。時間の少し前に集合場所に行くと、同乗するメンバーは台湾人のカップルと香港人、何故か東洋人ばかりだった。現地人のドライバーと大型のRVに乗り込んでツアーに出発した。  途中でレンタルの長靴の準備をした後、しばらく行くと前方に真っ白な大地が見えてくる。こうして二人は世界で最も平らな場所へやって来た。 073ac4e4-3f13-4974-a0d3-f5074e351f2a  彼女の仕事の都合で日本人観光客に人気の雨季ではなかったが、地平線まで見渡す限り真っ白な世界。所々で停車して写真を撮ったりした後は、長靴に履き替えて局所的に水がある場所へ移動した。  太陽が水平線に沈む。 ca74e3e3-1f72-4b1e-87d0-25c3c66439bd 西の空の輝きが薄れていき、星はその数を増す。薄暮の時が過ぎる頃、彼らは星の光に包まれた。 「My god, it’s full of stars.」 「何よ」 「昔見た映画にそういうセリフがあったんだよ」  二人は天頂を見上げる。降るような星だ。 「ありがと。願いがかなったよ」と彼女は言った。  くしゅんと亜希子がくしゃみをした。 「確かにきれいな星空だけど、寒くなってきたわね」 「そうだね」 「私昔からハネムーンはビーチリゾートにしようと思ってたのに、何故こんな所にきちゃったのかしら?」 「いや、君がここに来ようっていったんだよ」 「確かにそうだけど。ね、次に海外旅行する時は絶対ビーチリゾートにしましょう」  そういいながら大輔に向けた亜希子の顔は幸せそうに笑っていた。 終
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