親友

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「上月 瑠璃は私ですが。」 「柳 大輔と申します。実は昨日2丁目の15の大杉アパートの203号室に引っ越してきたのですが、以前住まわれていた平宮(なるみや) 晶子(あきこ)さんのノートが出てきまして。どちらに引っ越されて分からないもので。上月 瑠璃さんのお名前がありましたので、不躾とは思いますがお電話差し上げました。」 「あきちゃん、いえ 平宮さんは10年前に交通事故で亡くなりました。」 「そうでしたか。ご家族はどうされました?」 「平宮さんの所は母子家庭だったと思いますが、お母様がどうされたかは存じません。」 「そうですか。しかし何のゆかりも無い私が日記帳を持っていても仕方が無いし、お母様がどうされたかも分からないのでしたら、ご友人の上月さんにお渡ししたいと思います」 「平宮さんの日記を渡されても困るのですが」 「では一度見ていただくと言うのはどうでしょう?」 「そうですね。一度見るだけなら」 「もし今日ご都合が良ければお持ちしますが」 「では12:30にサロンではなく隣接する自宅の方においで下さい。」 「分かりました。では12:30にお伺いいたします。」     
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