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(ううっ…本格的にマズくなってきた…)
東雲遥香はクラクラする頭を押さえる。
今日は朝から怠い。働かない頭を必死で動かして登校したけれど、4時間目の今、限界に達しそうだ。
けれど早退したところで親は共働きだから、家には誰もいない。あと半日くらい必死で堪えるしかなかった。
「ハル、ハル」
「ん…?」
隣の席に座る彼氏の及川怜が授業中にも関わらず遥香のことを呼ぶ。遥香は内心、頭が痛いから後にして…そう思っていた。
「ハル、どうした?先生に指されてるぞ?」
「あ…」
「東雲!集中してるか?」
ごめんなさい
先生にその一言を言うのですら億劫だ。けれど指名されてしまったのなら仕方がない。
(今って…ああ、国語か…)
机の上にきちんと置かれた教科書を見てなんの授業を受けていたのかを思いだす。けれど、今どこをやっているのかまでは分からない。
「ハル、40ページのここ読めって」
「うん」
怜に教えてもらった場所を見つけ、両手で体を支えながらなんとか立ちあがる。
その瞬間、視界がぐにゃりとゆがんで見えた。
(あれ…?)
どんどん暗くなっていく視界に自分が真っ直ぐ立っているのかも分からなくなってくる。
「ハル!?」
遠くで怜が自分の名前を呼んでくれているような気がした。
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