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隣の席に座っているのはつきあい始めてまだ1ヶ月くらいの彼女、東雲遥香だ。この間の席替えで本当にたまたま隣になった。あの時は自分のくじ運の良さに感謝した。
(ほんとにここ、神席すぎるでしょ)
怜は授業中にも関わらずチラチラと遥香のことを見てしまう。
「じゃあ、続きから…東雲」
教科書を読むよう遥香が指名される。しかし、遥香はぼぉーっとしていて反応がない。
「ハル、ハル」
怜は隣に座る遥香に呼びかける。
「ん…?」
すると遥香は面倒くさそうに怜の方を向く。
「ハル、どうした?先生に指されてるぞ?」
「あ…」
「東雲!集中してるか?」
怜は教えるも間に合わず、遥香は先生に注意されてしまう。しかし、遥香が気にした様子は無かった。
(あれ?なんかいつもと違う…?)
よく見ればいつもより頬が赤い気がするし、普段はキラキラと輝いている瞳はトロンと潤んでいる。
遥香は教科書すら開いてなくて、パラパラとページをめくっていた。
「ハル、40ページのここ読めって」
「うん」
怜が場所を教えると遥香は教科書を開き、両手で体を支えるようにして立ち上がる。
しかし、体を支えていた肘が折れ、ぐらりと身体が傾いていく。
「ハル!」
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