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 缶ビールとつまみを買った帰り道、いつものように俺は数人の他人とすれ違ったり、不思議と歩幅が合い、少しの間一緒に散歩しているようになったりしているわけで、目の前を歩いている男性もそうだった。  その男性はラフな格好に右手にはスマートフォンを持ち、そのスマホのナビゲーション通りに歩いているようだった。旅行にしては軽装すぎるが、どうなのだろう、荷物などはホテルに置いてあるのだろうか。 「右手前方ガ目的地デス」  男性のスマホがそう伝える。男性が目的地らしき家の前で立ち止まる。俺は自然と男性の横を通り過ぎる。 「老夫婦ハ、ココニ住ンデイマス」  ん? と思ったが、俺は立ち止まらずに角を曲がった。本当になんとなく違和感を感じただけなのだが、それなら今の時代違和感だらけだし、スマホがあんな風に喋る事も俺が知らないだけで、実は今の常識なのかもしれない。  でも、どこか気味が悪かった。
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