Reset ③

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 貴方がくれた感情だと思うと愛しささえ感じる。苦しいのに、つらいのに。  考えれば考える程、行動が矛盾している気もする。自分がどうしたいのかハッキリとしているのに、いつ踏み出すべきかタイミングが掴めない。自分が何を考えているのか整理が出来なくなるなんて、情けない。  適当に想う相手じゃないと、本気だとこうも駄目になるものかと思い知らされる。  そうだ。俺だって、傷付くのは怖いんだ。  譲さんに拒絶されたくない。  嫌われたくない。  いや、傷付くのが怖いなんて今までは考えたこともなかった。何て臆病なんだろうか。弱いんだろうか。  あの時の貴方の表情は俺を拒絶するものだった。 ――違う。違う、そうじゃない。嫌われてなんか、拒絶なんかされてない。少し怖がっていただけだ。またすぐ取り戻せる。大丈夫。……大丈夫だ。  渇きは一向に治まらない。  欲しくて欲しくてたまらない。触れたい、声が聞きたい、ほんの一目で良いから貴方を視界に収めたい、でもそれをしたら俺はきっと貴方を無理に抱いてしまいそうだ。でも会いたくてたまらない、渇いて渇いて、とても耐えられない。本当は今すぐ貴方に助けてほしい、きっと貴方にしかこの渇きは癒せないから。  渇きを誤魔化すように柚希を抱いた。  柚希はと言えば俺と出会う前から既にセックス漬けの毎日で、俺以外に何人もそういう相手がいる。自分は快楽主義者だと豪語していたが、本当にそうなんだろう。実にサッパリとしたものだ。女なら中々こうは行かない。便利な存在だった。それは、おそらく互いにとって。 「バイトは……まあ、飲食って言えば飲食かな。じゃあそろそろ行くよ」 「つれねぇー。まあそこがリョージの好きなとこなんだけどさ。そんじゃあ、いってらっしゃい」  軽くキスを交わし、俺は柚希の部屋を後にした。
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