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嫌がらせ? 何が? どれの事を? 二人で居る大事な時間にも、美波美波ってこの場にいないどうでもいい人間のことばかり言っていた貴方はどうなんだ。
酷いこと? まさかあの時に少し強引にキスをしたときの事? 貴方の方がよほど俺に酷いことをしているのに。無邪気に、そして無垢に。俺のことを振り回しているのに。俺の思考を支配しているのに。俺の全てを占拠しているのに。
何だ、本当に何にも分かっていないんじゃないか、この人は――
「……もう、馬鹿だなぁ、譲さんは」
持っていた携帯を閉じてベッドの端に置く。
そのまま右手を譲さんのすべらかな頬に添えた。触れた瞬間に、譲さんの身体がぴくりと反応する。それがまるで合図のようだった。
「何にも、解っていないんだから。譲さん、お仕置きだよ。朝までゆっくり、ね」
傷一つない真っ白な頬に爪を立てる。これが俺が貴方に刻む一つ目の刻印。
今から貴方の全身に俺の印を刻み付けていく。隅々まで、貴方を構成している細胞の全てまで。
貴方を全力で、愛してあげる。
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