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譲さんの中で、ゆっくりゆっくり、撫でさするように動かす。千切られてしまいそうだった締め付けが、少し緩み、徐々に俺を受け入れてくれているのを実感した。
暗闇の中で、結合部が僅かにクチュクチュという音を奏で、二人の呼吸がそこに加わると、聴覚まで愛撫されているような感覚に陥った。
「譲さん、そろそろ動くからね」
自分の呼吸の荒さが、このままの動きではいられないと限界を訴える。
「――え、っあ、やだ、やめ――ひいっ……!!」
制止する声も振り切って、俺のモノをギュッと締め上げていた譲さんの中から、亀頭部分を残して引き、そこから一気に押し込んだ。
ああ、やばい、どうしよう。気持ち良すぎる、これは。
譲さんが俺の背中に腕を回してしがみ付いた。ピリッとした痛みが走ったが、その痛みすら快感にすり替えられるほど、全身が打ち震えている。
蕩けてしまう。このまま二人、蕩けて液体になって、一緒に交じり合えてしまえたらいいのに――
何度も何度も打ち付ける。打ち付けて、譲さんの滑らかな臀部に自分の陰毛を擦り付ける。譲さんの臀部は、汗や粘液でまるで女の性器のようにぬるりとしている。打ち付けながら、丸い双丘を撫で、肌のきめ細やかさを味わった。
あ、やばい、もうイきそう。
眼下の譲さんを見る。すると、もういつ絶頂を迎えてもおかしくない俺とは対照的に、表情もなくし、虚ろな表情をしていた。
「……譲さん?」
動きを止めて譲さんを呼ぶ。それでも、譲さんは少し視線を動かしただけで、何も言わなかった。まるで、人形のようだ。
「どこ見てるの? どうして何も言わないの? 譲さん……?」
急に不安に襲われて、譲さんの頬を軽く叩いた。それでも、ピクリとも動かない。
少しして、譲さんの唇が開いた。
「は、早く、終わらせて……」
「え?」
「お願い、苦しい、早く」
まるで拷問を受けているような切願。
俺はもう直ぐにでも達しそうなほど張り詰めているのに、譲さんはただただ苦痛に耐えていただけだったのか。愛しい人に、こんな事を言わせている。そんな事は絶対にあってはならないはずだ。
「――嫌だ、そんなの。俺だけ気持ち良くなっても仕方ないだろ」
絶対にそれだけは避けたい。譲さんの体に、この時間を苦痛の時間として残させない。一緒に達して、快楽を刻み付けなければ。
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