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慎重に、腰を前後に揺らす。揺らしながら譲さんの萎えきった性器に手を伸ばし、愛撫する。挿入だけに徹していたからいけなかった。手の届く範囲、舌でも、同時に愛撫しなければ。
空いた方の手は譲さんの手と重ねる。譲さんの性器が徐々に熱を帯びてきたのを確認して、唇で啄むだけのキスを繰り返した。
「うっ、く、」
「絶対、気持ちよくしてあげる、一緒におかしくなっちゃおうよ、譲さん」
「そん、なの、要らな、い……無理、」
――ああクソ。
今更ながら、柚希としかしなかったことを後悔した。
アイツは顔さえ良ければ誰とでも寝る快楽主義者で、全身性感帯みたいな男だ。譲さんのように、まだ花開く前の蕾のような淑やかさを持つ人とは全く違う。この人は俺が一から開発していかなければいけないんだ。
それでもきっと、きっと大丈夫だ。焦るな。
腰を前後左右に動かしながら、手の動きのスピードも上げる。性器は完全に反り起った。
「こっちは素直で可愛いのに……後ろは鈍い、な……」
完勃ちした性器を愛撫しながら思わず吐露すると、規則的だった譲さんの呼吸が一瞬、乱れた。
「ぁっあっぐ、……っ!!? ――ぁ、?」
その瞬間、譲さんの身体が大きく痙攣して跳ねた。目を見開いて、何が何だか分からないという顔をしている。俺も一瞬、状況を把握できなかった。ただ、痛みによる反応ではないことは、その表情で理解した。
これは、間違いないはずだ。
「――やっと、起きたね」
「え?」
「今に女の子みたくなれるよ、譲さん」
「な……にが……?」
ぱちぱちと瞬きをする譲さんに笑いかける。そして、今譲さんが反応を示した位置に照準を当て、動かした。
「この辺……」
「ぇ、っくっ!――っあぁああっ」
譲さんが顔を紅潮させ、状況も忘れて大きな喘ぎ声を響かせた。隣の部屋に美波がいるのに、一階には母親がいるのに。ひっきりなしに気持ち良さそうに喘いだ。
「しっ、さすがに声大きいです。ああでも、いいなぁ」
そう言って譲さんの唇に人差し指を当てる。喘ぐその唇が、当てた人差し指を無意識に舐める。堪らなく淫靡で、可愛い。
「ぁ、や、これっ、――っっ!!!」
可愛い、可愛すぎて死ねる。でも、やっぱりここは譲さんの家で、これ以上大きな声を出されて邪魔されるのは困る。
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