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「さ、着きましたよ」 「あ、ああ。うん」  ストンと地面に降ろされて、今度は肩に腕を回して僕を支えてくれている。情けないけれど、確かにこうして貰えると楽だ。 「ありがとう」 「いいえ」  刹那。 「うわっ……!」  突如巻き起こった、たたき付けるような大きな風が公園の木々を乱暴に揺らし始めた。轟々と音を立てて吹きすさぶ風。安定性のない足が風にさらわれて揺れてしまう。 「風、凄っ、……痛っ」  飛ばされた砂粒だろうか、目に入り込んだ刺激で反射的に瞼を降ろし固く閉じた。  視界が塞がれて、よろけて辻浦君に凭れ掛かってしまったようで、背中一面に人の体温を感じた。 ふと、耳元に生温い空気が触れた。 「……もう、絶対に放さない」  微かに……何か言われたような、声を拾った気がした。  突然に吹きすさんだ風は、いまだ音を立て暴れている。 「……何か……言った?」 「いいえ、何も」  辻浦君はニコリと笑って、涙で視界が滲む僕の手を引いた。 終
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