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食事を終えて、ソファーでテレビを見ながら何気ない話に花を咲かせて、満面の笑みを俺に惜しげもなく向ける譲さんに、少しは心を開いてくれたのかと舞い上がっているのが分かる。でもそんなの仕方ないじゃないか。制御できるようなものじゃない。
調子に乗って譲さんに凭れて触れた箇所がひどく熱くて、それなのに心地が良い。布越しの感触が惜しい。
直接、触れたい。
「本当に、まるで隠れ家レストランだね」
「あはは。気に入ってもらえたのならいつでも。譲さん専用レストランってことで、開店しますから」
思えば、この部屋に家族以外の人を入れたのは初めてのことだ。
今までは、一人暮らしの部屋を友人や彼女に教えると面倒な事になるとしか思わず、誰にもこの部屋の存在を教えなかった。
譲さんをこの部屋に入れる時、躊躇いは一切無かった。譲さんなら、ずっと居て欲しいくらいだ。
そう、ずっと――。
「僕専用なんて、そんなの勿体ないよ。美波や母さんにもいつか食べさせてやってよ」
意識が飛んでしまっていたのだろうか。歪む視界に頭がぐらぐらとして気持ちが悪かった。
やがて、焦点が定まる。
自分の真下で組み敷かれた譲さんが、唇を艶やかに湿らせ艶姿と称しても間違いない表情で俺を見上げていた。
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