1人が本棚に入れています
本棚に追加
Someday
しとしとと雨が降る。
放課後、私はいつも通り図書室へ行き窓際の席で本を読む。
いつもなら野球部のやる気に満ちた声を聴きながら読むのだが、今日は生憎の雨。未だ降り続く雨音がBGMだ。
静かな図書室に私の本を捲る音と雨音だけが響く。
ただ、何か物寂しい気もする。部活の活気のある声を聴きながら読むことが日常だったからかな?なんて思いつつ、本を読み進める。
キィッ
図書室のドアが開けられる。
私は一瞬ドアの方へ目をやり、また本へ目を向ける。
「お前は、同じクラスの……」
入ってきた誰かが私に声をかける。
彼は同じクラスの元野球部。元々強豪クラブチームでやっていたらしくてここでも同学年では抜きん出た存在だったはずだけど、確か去年肩を壊して野球を辞めたって聞いた。
「お前、ここで何してんの?」
彼は髪の長くなった頭を掻きながらぶっきらぼうに聞く。
「本、読んでるの。ここで読むのが好きなの」
私は本から目を話さずお返しとばかりにぶっきらぼうに返す。
「そっか……」
彼は寂しそうな声色でそう呟くと、私から離れていった。
最初のコメントを投稿しよう!