496人が本棚に入れています
本棚に追加
全てを見透かしたような瞳――。
その強い眼差しに堪えられなくなったタケルは思わず視線を逸らしてしまう。
次の瞬間――
高支那の口からククッ…と低い笑いが漏れる。
タケルは即座に反応して高支那を睨みつけた。
だが高支那は悠然とソファにもたれ掛かったまま、問う。
「なぜお前はここに来た？」
「…えっ？」
いきなり返答に困る質問をされ、タケルは言葉に詰まってしまう。
そんな動揺するタケルを見て、高支那がスッと立ち上がる。
そしてタケルに近づくと、腰を落とし、まっすぐ目線を合わせてきたのだ。
その射るような視線にタケルはなぜかドキッとする。
不意に高支那の手が延びてくる。
タケルは軽く顎を掴まれ、僅かに上向きにさせられた。
高支那の行為の意味が分からず、タケルは更に戸惑ってしまう。
それが表情に表れていたのだろう。
高支那はビクンとするタケルを見て、おかしそうにまたフッと笑う。
――が、物静かなその仕草もそこまでだった。
いきなり高支那がタケルの胸倉を乱暴に掴んだのだ。
最初のコメントを投稿しよう！